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内側広筋の筋活動を高めるハーフシッティングとは?膝への負担を抑える仕組みとやり方

  • 6 時間前
  • 読了時間: 5分

はじめに


膝に痛みのある方や膝関節の手術後では、膝への負担を抑えながら、内側広筋をはじめとする下肢筋群の筋力を高めることが求められます。


しかし、負荷を抑えすぎると、内側広筋や外側広筋などの大腿四頭筋に十分な刺激を与えられない可能性があります。


こうした課題に対するトレーニング方法の一つが、片殿部着座姿勢で行う体幹前傾運動(Forward Half-Sitting:以下、フォワードハーフシッティング)です[1]。


本記事では、フォワードハーフシッティングと一般的なスクワットにおける膝関節への負荷や、内側広筋をはじめとする下肢筋群の活動を比較し、その特徴と臨床や運動指導で活用する際のポイントを解説します。



なぜ、膝への負担を抑えた筋力トレーニングが必要なのか?


膝痛で前かがみの男性イラスト。右膝を押さえ、黄色い痛みマーク。左に「膝の術後や痛み…下肢筋力を高める運動が必要です。」の文字。

膝関節の術後リハビリテーションや変形性膝関節症(KOA:Knee Osteoarthritis)の運動療法では、下肢筋力を回復させるために、スクワットなどの荷重トレーニングがよく用いられます。


しかし、スクワットでは膝を曲げながら体重を支えるため、膝の屈曲角度が深くなるほど、関節面に加わる圧迫力や膝を伸ばすために必要な力が大きくなります。


また、動作中に膝の内側へ負荷が偏ると、膝関節内側への負担も高まる可能性があります。


その一方で、膝への負担を避けるために運動強度を下げすぎると、筋力の回復に必要な刺激を十分に与えられません。


そのため、術後早期や膝に痛みがある方には、膝関節への負担を抑えながら、大腿四頭筋などの下肢筋群をしっかり働かせるトレーニングが必要になります。


フォワード ハーフ シッティング(片殿部着座姿勢で行う体幹前傾運動)のやり方と実施ポイント


フォワード ハーフ シッティング(Forward Half-Sitting)体幹前傾運動は、片側の殿部を台や椅子に乗せ、膝の角度を保ったまま体幹を前傾させる運動です。膝関節の動きを抑えながら、荷重位で下肢筋群を働かせられることが特徴です[2]。


フォワードハーフシッティングで内側広筋の活動が高まる理由


膝関節屈曲角度を70度に統一して比較した研究では、内側広筋の筋活動はスクワットの34±35%MVCに対し、フォワード ハーフ シッティングでは42±22%MVCと有意に高い値を示しました[1]。


フォワード ハーフ シッティングでは、体幹の前傾による重心の前方移動を制御するため、前脚で床を押しながら膝伸展モーメントを持続的に発揮します。


その結果、大腿四頭筋への刺激が増え、内側広筋や外側広筋の活動が高まったと考えられています。



実施手順


  1. 台や椅子の端に片側の殿部を乗せます。

  2. 運動する側の足を前方に置き、膝を約70度に曲げます。

  3. 背すじを伸ばし、運動する側の足に体重をかけます。

  4. 膝の角度を変えないように、股関節から体幹をゆっくり前傾させます。

  5. 前傾した位置で姿勢を保ち、ゆっくり開始姿勢へ戻ります。


この研究では、運動する側の足に体重の半分をかけ、4秒かけて体幹を前傾し、その姿勢を4秒間保持し、4秒かけて元の姿勢に戻す方法で行われています[1]。

前傾半座位の体験前傾エクササイズの図。ベンチ横で男性が片脚を前に出して前傾し、注意点を日本語で注記。

実施上の注意点


  • 膝の曲げ伸ばしではなく、股関節を折りたたみながら前傾させます。

  • 膝が内側や外側へ動かないように、膝とつま先の方向が正面に向くようにします。

  • 背中が丸まらないように注意します。

  • 足底全体で床を押して、踵やつま先が浮かないようにします。

  • 痛みや腫れが増加する場合は、前傾角度や荷重量を調整します。

  • 転倒の不安がある場合は、壁や手すりの近くで実施します。



リハビリや運動指導で活かすポイント


はじめは体幹の前傾角度を小さくし、足にかける荷重も軽めに設定します。


動作を安定して行えるようになったら、前傾角度や静止時間、反復回数を段階的に増やします。


体重計を足元に置くと、運動側にどの程度の荷重がかかっているかを確認できます。また、椅子の高さを調整することで、膝の屈曲角度や運動強度を変更できます。


参考研究は健常成人10名を対象とした比較であり、術後やKOAの患者を直接検証したものではありません。実際に用いる際は、術式や荷重制限、疼痛、腫脹、回復段階に合わせた調整が必要です。

筋力強化からランニング動作へつなげる発展的トレーニング


ハーフ シッティングには、今回取り上げた方法以外にも、より強い負荷を大腿四頭筋に与えるバックワード ハーフ シッティング(Backward Half Sitting)があります。


さらに、下肢筋力の回復後に走動作へ移行するための方法として、ランニング時の衝撃吸収に近い動きを、より小さな負荷で練習するモディファイ ドドロップ スクワット(Modified Drop Squat:MDS)があります。


これらは、対象者の回復段階に応じて、筋力強化から衝撃吸収、走動作へと段階的につなげるための選択肢として活用が考えられます。



まとめ


ハーフシッティングを用いた体幹前傾運動は、片側の殿部を台で支え、膝の角度を保ったまま体幹を前傾させる運動です。


スクワットと比べて、膝関節伸展モーメントの最大値や内反モーメントを抑えながら、大腿四頭筋やハムストリングスの活動を高められる可能性が示されています。


そのため、膝関節への負担に配慮しながら下肢筋力を高めたい場面で、選択肢の一つとなります。


ただし、研究対象は健常成人であり、術後や変形性膝関節症への効果を直接検証したものではありません。


実施する際は、疼痛や腫脹、荷重制限などを確認し、膝の角度や荷重量、体幹の前傾角度を対象者に合わせて調整することが重要です。


参考文献


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