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Sit and Rise Test(SRT)とは?転倒評価・身体機能スクリーニングに活用する評価法

  • 14 時間前
  • 読了時間: 5分

はじめに


Sit and Rise Test:SRT(床への座り込み・立ち上がりテスト)は、床への座り込みと立ち上がり動作を通して、身体機能を簡便にスクリーニングできる評価法です。


この評価は下肢筋力、関節可動域、バランス能力、協調性など複数の身体機能が影響するため、全身の機能を総合的に把握する指標として活用されています。


片脚立位テストやTimed Up and Go(TUG)テストは、身体機能や転倒リスクの評価として広く用いられています。


一方、SRTは床への座り込みと立ち上がりという日常生活に近い動作を通して、複数の身体機能を同時に反映するため、全身の機能を包括的にスクリーニングできる点が特徴です。


また、SRTのスコアは将来の死亡リスクとの関連性が報告されており、身体機能を簡便に評価できるスクリーニングツールとして注目されています。


本記事では、SRTの目的や評価方法、スコアリングのポイントに加え、評価結果をどのようにリハビリや運動指導へ活かしていくかについて解説します。


Sit and Rise Test:SRT(床への座り込み・立ち上がりテスト)でわかること


Sit and Rise Test(SRT)は、Araújoらによって開発された身体機能評価で、床への座り込み(Sit)と床からの立ち上がり(Rise)を、どれだけ補助を使わずに遂行できるかを評価します[1]。


床への座り込みや床からの立ち上がりは、日常生活における基本動作の一つであり、この動作を遂行するためには、下肢や体幹の筋力だけでなく、関節可動域、バランス能力、姿勢制御、運動制御など、複数の身体機能が協調して働く必要があります。


そのため、SRTの成績にはこれらの要素が総合的に反映され、単一の身体機能を評価するテストとは異なり、複数の身体機能を一度にスクリーニングできることが大きな特徴です。


また、特別な機器や広いスペースを必要とせず、短時間で実施できることから、リハビリや運動指導の現場でも導入しやすい評価法といえます。


さらに、動作を点数化することで身体機能の経時的な変化を把握しやすく、転倒リスクのスクリーニングや運動プログラムの効果判定など、幅広い場面で活用されています。



Sit and Rise Test:SRT(床への座り込み・立ち上がりテスト)と死亡リスクの関連性


SRTが世界的に注目されるようになった理由の一つに、SRTのスコアが身体機能を反映する指標として、死亡リスクとの関連性が報告されたことがあります。


Sit and Rise Test(SRT)のエビデンスをまとめたインフォグラフィック。 左側は2014年の研究結果を示し、高得点群(8〜10点)と低得点群(0〜3点)を比較すると、低得点群は死亡リスクが約5.4倍高いこと、またSRTスコアが1点高くなるごとに死亡リスクが約21%低下することを示している。右側は2025年の研究結果で、SRTスコアが低い人ほど全死亡リスクおよび心血管疾患による死亡リスクが高いことを示している。SRTスコアは将来の健康リスクを反映する身体機能評価として注目されている。

2014年に発表された研究では、51〜80歳の成人2,002名を平均6.3年間追跡した結果、SRTのスコアが低い人ほど全原因死亡率が高いことが示されました[1]。


特に、8〜10点の高得点群と比較すると、0〜3点の低得点群では死亡リスクが約5.4倍高くスコアが1点高くなるごとに死亡リスクは約21%低下する傾向が報告されています[1]。


さらに、2025年に発表された約4,300名を12年間追跡した研究でも、SRTのスコアが低い人ほど自然死や心血管疾患による死亡リスクが高いことが報告されており、この関連性が改めて確認されています[2]。


SRTの目的は死亡リスクを評価することではなく、身体機能を総合的に把握することです。身体機能が低下している人ほど健康状態も低下している可能性が高いため、その結果として死亡リスクとの関連性が報告されています。


Sit and Rise Test:SRT(床への座り込み・立ち上がりテスト)の実施方法


SRTの実施に必要なのは、クライアントが安全に動ける滑りにくい床面(ヨガマットなど)と、動きやすい服装のみです。



実施手順


Sit and Rise Test(SRT)の実施手順を示した図です。まず、立位から手や膝などで身体を支えず、その場で床に座ります。次に、座った姿勢から同様に補助を使わず、その場で立ち上がります。評価では、座る動作(Sit)と立ち上がる動作(Rise)のそれぞれについて、手・膝・前腕・太ももなどの補助の使用や、ふらつきの有無を確認し、身体機能を点数化します。SRTは、下肢・体幹の筋力、バランス能力、柔軟性、姿勢制御、運動協調性を総合的に評価できるシンプルな身体機能テストです。

  1. クライアントは裸足になり、動きやすい服装で実施します。

  2. 評価者は以下の通り指示を出します。

    「運動の速度は気にする必要はありません。できるだけ手や膝、腕などのサポートを使わずに、床にクロス脚(安座など)で座り、そこから再び立ち上がってみてください」

  3. 腕はバランスを取るために自由に広げて構いませんが、身体の一部や床に触れると減点対象になります。


Sit and Rise Test(SRT)|スコアリングルール(減点方式)


SRTは「座る動作(5点満点)」と「立ち上がる動作(5点満点)」の合計10点満点で評価されます。


それぞれの動作において、支持(サポート)が追加されるたびに「1点」が減点され、ふらつき(不安定性)が見られた場合は「0.5点」が減点されます[3]。


立ち座りテスト(Sit and Rise Test:SRT)のスコアと死亡リスクの関係を示した図です。補助を使わずに立ち座りができる動作が望ましく、手や膝などで身体を支える動作は減点対象となります。SRTでは8〜10点が「良好ゾーン」、3.5〜7.5点が「要注意ゾーン」、3.0点以下が「危険ゾーン」に分類されます。研究では、8点以上の高得点群は死亡リスクが低い一方、7.5点未満では死亡リスクが高まり、最も低得点の群では高得点群と比較して死亡リスクが約5〜6倍高いことが報告されています。SRTは身体機能を簡便に評価できるだけでなく、将来の健康リスクを把握する指標としても活用されています。

減点対象となる動作・支持

減点数

手を床につく

-1点

前腕を床や膝につく

-1点

膝を床につく

-1点

脚の側面(下腿の外側など)を床につけて強く推進力を得る

-1点

手で自分の膝や太ももを押して支えにする

-1点

動作中の明らかなふらつき、バランスの揺らぎ(軽度の不安定性)

-0.5点


0点(最低値):自力での動作が全く不可能、または外部からの完全な介助や物品(椅子や壁)の支持を必要とする場合。


スコアリングの具体例


例えば、座る動作で手を1回床についた場合は、5点から1点減点されるため、4.0点となります。


続いて、立ち上がる動作で膝を1回つき、さらに途中でふらつきがみられた場合は、5点から膝をついたことによる1点と、ふらつきによる0.5点が減点され、3.5点となります。


この場合の合計スコアは7.5点(座る4.0点+立ち上がる3.5点)となります。


このように、座る動作と立ち上がる動作をそれぞれ5点満点で評価し、その合計10点満点で判定します。


この評価では、8点以上の群は死亡リスクが低く、7.5点以下になると死亡リスクが高くなる傾向が報告されています。特に、最もスコアが低い群では、最もスコアが高い群と比較して死亡リスクが約5〜6倍高いことが示されています。

まとめ


Sit and Rise Test(SRT)は、床への座り込みと立ち上がりという日常動作を通して、身体機能を簡便にスクリーニングできる評価です。


器具を必要とせず短時間で実施できる一方で、そのスコアには筋力や関節可動域、バランス能力、運動制御など複数の身体機能が反映されます。


また、近年の研究では、SRTのスコアと死亡リスクとの関連性も報告されており、身体機能を総合的に把握する指標として注目されています。


SRTを身体機能評価の入り口として活用し、その結果を詳細な評価や運動プログラムの立案につなげることで、一人ひとりの身体機能に応じた適切なコンディショニングやリハビリテーション、運動指導を実践できるようになります。


ぜひ、日々の臨床や運動指導に取り入れてみてください。



参考文献


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