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足関節背屈制限をどう評価する?荷重ランジテスト(WBLT)の実施方法と評価ポイント

  • 16 時間前
  • 読了時間: 5分

はじめに


スクワットで踵が浮いてしまう、ランジ動作で膝が十分に前方へ移動できない、歩行やランニングで代償動作が見られる。


このような問題に遭遇した際、股関節や体幹の機能に注目することは多いですが、その原因の一つとして見落としてはならないのが足関節背屈可動域の制限です。


足関節背屈可動域は、歩行や階段昇降、スクワット、ランジ、ジャンプ動作など、多くの日常生活動作やスポーツ動作に関与しています。


そのため、足関節背屈の可動域が低下すると、足部だけでなく膝関節や股関節、さらには体幹にも代償動作が生じ、アライメント異常や運動パフォーマンスの低下、障害リスクの増加につながる可能性があります。


そこで有用なのが、荷重位で足関節背屈可動域を評価する荷重ランジテスト(Weight Bearing Lunge Test:WBLT)です。


この評価は壁を利用して簡便に測定できることからウォールテスト(Wall Test)とも呼ばれ、信頼性・再現性に優れた評価方法として広く活用されています。


本記事では、荷重ランジテストの理論的背景、具体的な測定手順、基準値、そして結果をどのように解釈し臨床や運動指導へ活かすのかについて解説します。



なぜ、足関節背屈制限を評価する必要があるのか?


足関節の背屈可動域が低下すると、歩行やランニング、スクワットなどの動作時に脛骨の前方移動が制限されます。


その結果、身体は必要な動きを確保するために足部や膝関節、股関節で代償動作を生じさせることがあります。


こうした代償は下肢の運動連鎖を変化させ、さまざまな運動器障害やバイオメカニクス的異常の発生に関与する可能性があります。


実際に、足関節背屈制限は以下のような機能障害との関連が報告されています。


足関節背屈制限による機能障害発症リスクを示す図。足部の過回内、膝蓋大腿症候群、足底腱膜炎のイラストとPhysioplus表記。

足部の過回内(Pronation)

足関節背屈可動域が不足すると、脛骨の前方移動を補うために足部の回内運動が増加し、歩行やランニング時に過回内が生じる可能性があります。

膝蓋大腿症候群(Patellofemoral Pain Syndrome)

足関節背屈可動域の低下は、下肢アライメントや動作パターンを変化させ、膝蓋大腿関節へのストレス増加に関与する可能性があります。

足底腱膜炎(Plantar Fasciitis)

足関節背屈可動域の低下は、足部アライメントの変化や足底腱膜への負荷増加を通じて、足底腱膜炎の発症に関与する可能性があります。



荷重ランジテスト(WBLT)の概要と信頼性


荷重ランジテスト(Weight Bearing Lunge Test:WBLT)は、荷重位における足関節背屈可動域を評価するための代表的な評価方法です。壁を利用して簡便に測定できることから、ウォールテスト(Wall Test)とも呼ばれています。


足関節背屈可動域の評価には、傾斜計を用いて角度を測定する方法や、巻尺を用いて壁からの距離を測定する方法などがあります。


Powdenらの研究レビューでは、これらの測定方法による信頼性に大きな差は認められていません[1]。


そのため、臨床現場や運動指導の現場では、特別な機器を必要とせず、巻尺1本で簡便に測定できる壁を利用した距離測定法(ウォールテスト)が広く活用されています。



荷重ランジテスト(WBLT)の測定手順


こからは荷重ランジテスト(WBLT)の実施手順にういて解説します[2]。  




実施手順


  1. 足の裏全体を床にしっかりとつけた状態を保ちながら、膝を曲げて前方にある壁に触れるようにします。

  2. その状態で、壁から足の親指までの距離を測定します。なお、本動画では正常な足関節背屈可動域の目安を約12.5cm(手の幅1つ分)としています。

  3. 足の裏(特にかかと)が床から離れず、かつ膝が壁に触れる状態を維持できる限り、壁と足の距離を少しずつ離していきます。これを繰り返し、限界となる最大距離を測ります。


荷重ランジテスト(WBLT)の比較図。片膝立ち位と立位で壁に手をつく男性のイラスト、姿勢評価の説明文とPhysioplusロゴ。

荷重ランジテスト(WBLT)は、片膝立ちと立位のどちらでも実施可能であり、測定方法の違いによる信頼性に大きな差はないことが報告されています。片膝立ちは姿勢が安定しやすく足関節の動きに集中しやすい一方、立位は歩行やスポーツ動作に近い状態で評価できるという特徴があります。


テストの結果と解釈


  • 壁から足の親指までの距離が約12.5cm(5インチ)に達することが、正常な足関節背屈可動域の目安とされています。

  • 踵を床につけたまま膝を壁に接触させることができない場合は、足関節背屈可動域の制限が疑われます。


荷重ランジテスト(WBLT)の説明図。壁に手をつく女性と足元を測る人物、手の幅約12.5cmの目安、Physioplus表記。

また、このテストの評価時にどのような感覚が生じるかを確認することで、制限因子を考察する際の参考情報が得られることができます。


足関節前面に詰まり感がある場合

距腿関節の可動性低下など、関節の制限が関与している可能性があります。

下腿後面(ふくらはぎ)に張りや伸張感がある場合

腓腹筋やヒラメ筋などの軟部組織の柔軟性低下が関与している可能性があります。


ただし、これらはあくまでも参考所見であり、機能障害の原因を断定するものではありません。評価結果は他の所見とあわせて総合的に解釈することが重要です。



まとめ


荷重ランジテスト(WBLT)は、特別な機器を必要とせず、足関節背屈制限を簡便かつ定量的に評価できる実用性の高い評価方法です。


足関節背屈可動域の測定だけでなく、テスト実施時に生じる足関節の前方の詰まり感や後方の伸張感といった主観的な情報をあわせて確認することで、制限の背景を考えるための参考情報を得ることができます。



参考文献

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