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5回椅子立ち上がりテスト(5STS)とは?実施方法・基準値と転倒リスクを解説

3 時間前
読了時間: 5分

はじめに


5回椅子立ち上がりテスト(Five Sit-to-Stand Test:以下、5STS)は、椅子から5回立ち上がるまでの時間を測定するシンプルな評価方法です。


特別な機器を必要とせず短時間で実施できるため、リハビリや運動指導の現場でも活用しやすい評価のひとつです[1]。


本記事では、5STSの基本的な実施方法や評価のポイントを整理するとともに、他の評価方法との違いや、近年注目されている「マッスルパワー」との関連性について解説します。


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5回椅子椅子立ち上がりテストとは?


5回椅子立ち上がりテストは、椅子からできるだけ速く5回立ち座りを行い、その所要時間を測定する検査です。


5回椅子立ち上がりテストの図。椅子に座る男性が胸を組み立ち上がり、矢印で動作を示す。白背景に5STSの説明文あり。

下肢機能や転倒リスクを簡便に評価できる方法として広く活用されていますが、近年では、5STSの結果から下肢のマッスルパワーを推定できることにも注目されています[2]。



5回椅子椅子立ち上がりテスト|実施方法[3]



  1. 椅子に座る:肘掛けのない椅子(座面高43〜46cm程度)に座り、両腕を胸の前で組みます。

  2. 5回立ち座りを行う:合図とともに、できるだけ速く立ち上がりと着座を5回繰り返します。

  3. 時間を測定する:開始の合図から、5回目の着座で臀部が座面に触れるまでの時間を測定します。


実施時の注意点と評価の再現性を高めるヒント


5TSTSを実施する際は、以下の点に注意します。


  • 同じ高さの椅子を使用する:椅子の高さによって立ち上がりやすさが変わるため、毎回同じ高さの椅子を使用します。

  • 上肢を使わない:両腕を胸の前で組み、手で身体を支えないようにします。

  • 立位・着座を確実に行う:しっかり立ち上がり、臀部が座面に触れるまで着座します。

  • 安全を確保する:転倒の可能性がある場合は、検者が近くで見守ります。


上肢の補助なしでは立ち上がれない場合は無理に実施せず、そのこと自体も身体機能を捉える情報として記録します。


また、高齢者を対象としたSTSテストのシステマティックレビューでは、椅子の種類や動作速度、計測方法など、研究によって実施条件に違いがあることが指摘されています[4]。


そのため、経時的な変化を確認する場合は、同じ椅子を使用するなど、できるだけ同じ条件で測定することが重要です。



5回椅子立ち上がりテストのカットオフ値


Bohannonによる複数の研究をまとめた報告ではでは、年代別の目安として以下の値が報告されています[5]。

60〜69歳

11.4秒

70〜79歳

12.6秒

80〜89歳

14.8秒


また、地域在住高齢者を対象とした研究では、15秒以上で反復転倒との関連が報告されています[6]。


また、地域在住高齢者を対象に、身体機能の特徴から転倒リスクを4段階に分類する方法も報告されています。


この方法では、まず5TSTSの結果を「10秒未満」と「10秒以上」に分け、その後、他の身体機能を組み合わせて転倒リスクを評価します7]。


白地に「転倒リスクのアルゴリズム」のフローチャート。5回椅子立ち上がりテストから二重課題や片脚立位でI~IV度を判定、Physioplus表記。

このように、5STSの基準値は目的によって異なります。そのため、秒数だけで「転倒する・しない」を判断するのではなく、年代や転倒歴、その他の身体機能と合わせて評価することが重要です。


転倒予防では「筋力」だけでなく「パワー」にも注目する


転倒予防では、下肢筋力の低下に注目することが多いですが、どれだけ素早く力を発揮できるかというマッスルパワーも重要な視点のひとつです。


SimpkinsとYangは、地域在住高齢者94名を調査し、転倒者では下肢筋力に差はみられなかった一方、5STSの所要時間が長く、マッスルパワーも低いことを報告しています[7]。


日常生活では、バランスを崩したときに素早く身体を支えたり、一歩を踏み出したりするなど、短時間で力を発揮する能力が求められます。


そのため、5TSTSは下肢筋力だけでなく、マッスルパワーという観点から身体機能を捉える評価としても活用できると考えられます。



まとめ


5STSは、椅子から5回立ち上がる時間を測定するシンプルな評価ですが、下肢機能や転倒リスクを捉えるうえで役立つ指標のひとつです。


評価では、カットオフ値だけで判断するのではなく、年代や転倒歴、他の身体機能と組み合わせて捉えることが重要です。


近年では、5STSを単に時間で評価するだけでなく、どれだけ素早く力を発揮できるかという「マッスルパワー」を評価する指標として活用する方法も報告されています。


転倒予防を考える際には、筋力だけでなく、必要な力を素早く発揮する能力にも目を向ける必要があります。



参考文献


  1. Alcazar, J., Losa-Reyna, J., Rodriguez-Lopez, C., Alfaro-Acha, A., Rodriguez-Mañas, L., Ara, I., García-García, F. J., & Alegre, L. M. (2018). The sit-to-stand muscle power test: An easy, inexpensive and portable procedure to assess muscle power in older people. Experimental Gerontology, 112, 38–43.

  2. Simpkins, C., & Yang, F. (2022). Muscle power is more important than strength in preventing falls in community-dwelling older adults. Journal of Biomechanics, 134, 111018.

  3. Five Time Sit to Stand Test (FTSST) [Internet]. YouTube

  4. Mehmet H, Yang AWH, Robinson SR. What is the optimal chair stand test protocol for older adults? A systematic review. Disabil Rehabil. 2020 Oct;42(20):2828-2835.

  5. Bohannon, R. W. (2006). Reference values for the five-repetition sit-to-stand test: A descriptive meta-analysis of data from elders. Perceptual and Motor Skills, 103(1), 215–222.

  6. Buatois, S., Miljkovic, D., Manckoundia, P., Gueguen, R., Miget, P., Vançon, G., Perrin, P., & Benetos, A. (2008). Five times sit to stand test is a predictor of recurrent falls in healthy community-living subjects aged 65 and older. Journal of the American Geriatrics Society, 56(8), 1575–1577.

  7. 山田実. イチからわかる! 転倒予防Q&A. 東京: 医歯薬出版; 2025. p.115.

  8. Simpkins, C., & Yang, F. (2022). Muscle power is more important than strength in preventing falls in community-dwelling older adults. Journal of Biomechanics, 134, 111018.

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