ローテーターカフはどう鍛える?トレーニングの肢位・角度、負荷の選び方を解説
- 15 時間前
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はじめに
肩関節のコンディショニングでは、ローテーターカフの機能を高めるエクササイズが広く取り入れられています。
代表的なのが、上腕を体側につけた状態で行う肩関節外旋エクササイズです。
リハビリやトレーニングの現場でもよく用いられますが、肩関節は実際のスポーツや日常動作において、さまざまな挙上角度で回旋運動を行います。
そのため、ローテーターカフのトレーニングを考える際には、「外旋筋を鍛える」というだけではなく、どのポジションで、どのような機能を高めたいのかを考えることが重要です。
ストレングス&コンディショニングコーチのMike Boyle氏は、肩関節外転0°だけでなく、45°や90°といった異なるポジションで回旋運動を行う考え方を紹介しています[1]。
また、外旋だけではなく、肩甲下筋をはじめとした内旋筋群の機能にも目を向けています。
本記事では、こうした考え方をもとに、肩関節のポジションによってローテーターカフの働きがどのように変わるのかを整理しながら、外旋・内旋エクササイズをどのように使い分ければよいのかを解説します。
ローテーターカフ(回旋筋腱板)とは?
ローテーターカフ(Rotator Cuff:回旋筋腱板)は、肩関節の安定性や回旋運動に関わる筋群で、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋から構成されています[2]。
棘下筋と小円筋は主に肩関節の外旋、肩甲下筋は主に内旋に作用し、棘上筋は肩関節の外転に関与します。

筋肉 | 主な機能 |
棘上筋(Supraspinatus) | 肩関節の外転を補助し、上腕骨頭を関節窩に保持して肩関節を安定させる |
棘下筋(Infraspinatus) | 肩関節の外旋に作用し、上腕骨頭の安定化に関与する |
小円筋(Teres minor) | 肩関節の外旋に作用し、棘下筋とともに肩関節後方の安定化に関与する |
肩甲下筋(Subscapularis) | 肩関節の内旋に作用し、前方から上腕骨頭の安定化に関与する |
一般的な外旋トレーニングは間違い?肩関節の機能を考えた肢位と角度
ローテーターカフのトレーニングでは、上腕を体側につけた状態で行う外旋運動がよく用いられます。
しかし、実際の日常生活やスポーツでは、腕を体側につけた状態で行うことは少なく、腕を挙げた状態で肩関節の内旋・外旋が行われます。
そのため、ローテーターカフを鍛えるトレーニングでも目的に応じて肩関節の角度を変えることが重要になります。
Mike Boyle氏は、上腕を体側につけた肩関節外転0°だけでなく、腕を挙げた状態で行うローテーターカフのトレーニングをを推奨しています[1]。

その一つが、上腕を約90°挙上し、身体の真横ではなく前方約45°に位置させる「90/45°ポジション」です。
この位置は肩甲骨が向いている肩甲面に近く、腕を挙げた状態で肩関節の内旋・外旋をトレーニングできます。
肩関節外転90°・外旋90°の「90/90ポジション」は、野球の投球動作などでみられる肢位に近く、よりスポーツ動作を意識したトレーニングに使われます。
ただし、肩の状態によっては痛みや違和感が出ることもあるため、すべての人に適しているわけではありません。
そのため、まずは外転0°から始め、肩の状態をみながら90/45°、さらに90/90へと肢位を変えていく。
こうした段階的な進め方も、ローテーターカフトレーニングを組み立てる一つの方法になります。
ローテーターカフエクササイズは「腕の回し方」と「肩甲骨の安定」がポイント
ローテーターカフのトレーニングでは、どのくらいの負荷をかけるかだけでなく、どのように腕を回しているかも確認しておきたいポイントです。
腕を大きく振ってしまうと、肩関節そのものの回旋ではなく、上腕や肩甲骨の動きで代償してしまうことがあります。
もう一つ確認したいのが、肩甲骨の動きです。
ローテーターカフには、上腕骨頭が関節窩に対して過度に移動しないように、上腕骨頭を関節窩に引きつけ、安定した位置に保つ求心位保持の役割があります。
内旋・外旋をしたときに肩甲骨が大きく動いたり、肩がすくんだりしている場合は、肩関節の回旋を肩甲骨の動きで補っている可能性があります[3]。
そのため、ローテーターカフのトレーニングでは、肩甲骨を安定させた状態で、上腕骨を長軸に沿って回旋させることを意識します。
重量や回数だけでなく、上腕骨がきれいに回旋しているか、肩甲骨で動きを代償していないかも確認しながら行いましょう。
ローテーターカフは肩関節「外旋」ではなく、「内旋」も重要
ローテーターカフの中で、肩関節の内旋に作用するのが肩甲下筋です。

肩甲下筋はローテーターカフを構成する4筋の中でも大きな筋で、筋の力発揮能力の指標となる生理学的横断面積(PCSA)が最も大きいことが報告されています[4]。
一般的に肩関節の内旋筋力は外旋筋力よりも強く、健常な肩では外旋筋力は内旋筋力の約66〜75%と報告されています[5]。
こうした特徴を考えると、内旋と外旋をまったく同じ負荷でトレーニングするのではなく、外旋では比較的軽い負荷から丁寧に回旋動作を行い、内旋では筋力に合わせて負荷を設定するなど、それぞれの特徴に応じてトレーニングを組み立てることがポイントです。
まとめ
ローテーターカフのトレーニングでは、外旋・内旋の筋力を高めるだけでなく、どの肢位で、どのように動かすかまで考えることが大切です。
まずは外転0°から始め、肩の状態や目的に合わせて90/45°、90/90へと肢位を変えることで、実際の動作に近いポジションへ段階的に発展させることができます。
また、重量や回数だけでなく、肩甲骨が大きく動いていないか、上腕骨を長軸に沿って回旋できているかも確認してみましょう。
さらに、外旋だけに偏らず、内旋筋である肩甲下筋にも目を向けることもポイントです。
明日からのリハビリや運動指導では、肢位・動き方・負荷の3つを確認しながら、対象者に合わせてエクササイズを選択してみてください。
参考文献
Thompson, C. W., & Floyd, R. T. 身体運動の機能解剖 改訂版 (中村千秋・竹内真希, 訳). 医道の日本社. 2001
Muscle & Motion. (n.d.). Rotator Cuff Training with Mike Boyle (part 2) [Video]. YouTube.
Phadke, V., Camargo, P. R., & Ludewig, P. M. (2009). Scapular and rotator cuff muscle activity during arm elevation: A review of normal function and alterations with shoulder impingement. Revista Brasileira de Fisioterapia, 13(1), 1–9.
Ward, S. R., Hentzen, E. R., Smallwood, L. H., Eastlack, R. K., Burns, K. A., Fithian, D. C., Friden, J., & Lieber, R. L. (2006). Rotator cuff muscle architecture: Implications for glenohumeral stability. Clinical Orthopaedics and Related Research, 448, 157–163.
Ellenbecker, T. S., & Davies, G. J. (2000). The application of isokinetics in testing and rehabilitation of the shoulder complex. Journal of Athletic Training, 35(3), 338–350.





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