top of page

トレーナー・セラピストのためのオンライン学習プラットホーム

Physioplus_logo.png
Physioplus|フィジオプラス

無料会員
登録で
​新着記事を
受け取る

無料会員登録をすると、最新記事やオンラインプログラムコース、フィジオプラス主催のセミナー情報をいち早くお届けします。

無料会員登録で
新着記事を受け取る

無料会員登録をすると、最新記事やオンラインコース、会員向けセミナー情報など、いち早くお届けします。

クレイグテスト(Craig's Test)とは?大腿骨前捻角の評価方法と運動指導への活かし方

  • 9 時間前
  • 読了時間: 5分

はじめに


クレイグテスト(Craig's Test)は、大腿骨の前捻角(Femoral Anteversion Angle)を徒手的に推定するための評価方法です。


大腿骨前捻角とは、大腿骨頸部が大腿骨顆に対して前方へどの程度捻れているかを示す指標です。

この角度には個人差があり、股関節の内旋・外旋可動域や下肢のアライメント、立位・歩行などの動作にも影響を与える可能性があります。


本記事では、クレイグテストの基本的な考え方と実施方法、評価結果の解釈、そして運動指導にどのように活かすのかを解説します。



大腿骨前捻角とは?


大腿骨前捻角(Femoral Neck Anteversion:FNA)とは、大腿骨頭・頸部の軸と大腿骨遠位部の顆部軸がなす角度のことで、大腿骨がどの程度ねじれているかを示す指標です[1]。


大腿骨前捻角(FNA)の概要を示した図。大腿骨を上から見た模式図を用いて、大腿骨頸軸と大腿骨顆軸の位置関係から前捻角が形成されることを示している。

大腿骨前捻角は一定ではなく、成長に伴って変化します。


胎生初期にはほぼ0°ですが、出生時には約30°まで増加し、その後は成長とともに徐々に減少して、成人では概ね15°前後になるとされています[1]。


また、大腿骨前捻角の発達には、加齢だけでなく、歩行や運動によって加わる力学的な負荷も関係すると考えられています。歩行や運動発達に遅れや障害がある場合には、前捻角が大きく残る傾向も報告されています[1]。



大腿骨前捻角が大きいと股関節の機能はどう変わる?


一般的に、大腿骨前捻角が大きい場合は、股関節の内旋可動域が大きく、外旋可動域が小さくなる傾向があります。


反対に、前捻角が小さい場合は、内旋可動域が小さく、外旋可動域が大きくなる傾向があります。


大腿骨前捻角の違いを後捻・正常・前捻の3パターンで比較した図。前捻角10°以下を後捻、10〜15°を正常、15°以上を前捻として、大腿骨頸部と顆部の位置関係を模式的に示している。

こうした構造的な特徴は、股関節の可動域だけでなく、周囲の筋肉の働き方や関節にかかる力にも影響します。


その結果、立位での脚の向きや下肢のアライメント、歩行などの動作にも影響を与える可能性があります。


そのため、股関節の可動域や下肢の動きを評価する際には、筋力や柔軟性といった機能的な要因だけでなく、大腿骨前捻角などの構造的な特徴も含めて考えることが重要です。



クレイグテスト(Craig's Test)のやり方[2]




実施手順


クレイグテスト(Craig's Test)の実施方法を示した図。対象者を腹臥位で膝関節90°屈曲位とし、大転子を触診しながら股関節を内旋・外旋させ、大転子が最も外側に突出する位置で下腿の傾きから大腿骨前捻角を評価する様子を示している。

クレイグテスト(Craig's Test)における大転子の触診ポイントを示した図。対象者を腹臥位とし、検者が股関節を内旋・外旋させながら大転子を触診し、最も外側に突出する位置を確認する方法を示している。

  1. 被験者を腹臥位にし、評価側の膝関節を90°屈曲させます。

  2. 検者は評価側と反対側に立ち、大腿骨大転子を触診します。

  3. 大腿骨を内外旋させながら、大転子が最も突出した位置を触知できる肢位を探します。

  4. その肢位における下腿の傾きを、ゴニオメーターやインクリノメーターを用いて垂直線からの角度として計測します。


クレイグテスト(Craig's Test)の結果と解釈


クレイグテストでは、大転子が最も外側に突出した位置で股関節の回旋角度を測定し、その角度から大腿骨前捻角を推定します。


成人の大腿骨前捻角は、一般的に10〜15°前後が目安とされています。


測定角度が大きい場合は「前捻が大きい」、小さい場合は「前捻が小さい」と解釈します。また、大腿骨頸部が後方へ向く場合は「後捻(retroversion)」と呼ばれます。


ただし、大腿骨前捻角には個人差があり、クレイグテストで得られた数値が実際の前捻角と完全に一致するわけではありません。


そのため、測定値だけで正常・異常を判断するのではなく、股関節の内旋・外旋可動域、左右差、下肢アライメント、立位や歩行などの動作と組み合わせて評価することが重要です。



クレイグテストの信頼性については、同じ検者が繰り返し測定する場合には比較的高い再現性が報告されています。一方で、検者が変わると測定値のばらつきが大きくなる可能性があり、測定方法や使用する器具によっても信頼性が異なることが示されています[5]。

大腿骨前捻角が大きい場合、運動指導で何に注意する?


大腿骨前捻角が大きい人では、股関節が内旋位をとりやすく、それに伴って立位やスクワットなどで膝が内側を向き、見かけ上の膝外反(ニーイン)が観察されることがあります。


このような動きを単に「悪い動作」と判断し、膝を外側へ向けたり、股関節の内旋を強く修正したりすると、その人がもつ大腿骨の構造的な特徴に合わない動きを求めることになります。


その結果、股関節や膝関節に必要以上の負担をかけてしまう可能性も考えられます。


そのため、見かけ上の膝外反や股関節内旋がみられた場合には、筋力や柔軟性、運動制御だけでなく、大腿骨前捻などの構造的な特徴が関係していないかを確認することが重要です。


クレイグテストは、その判断材料の一つとして活用することができます。


ただし、クレイグテストで実際の大腿骨前捻角を正確に測定できるわけではありません。


あくまで大腿骨のねじれの傾向を推定するためのスクリーニング評価として捉え、股関節可動域や下肢アライメント、歩行やスクワットなどの動作評価と組み合わせて解釈することが重要です。


まとめ


クレイグテストは、大腿骨前捻角を徒手的に推定し、大腿骨のねじれの傾向を把握するための評価方法です。


前捻角の違いは、股関節の可動域や下肢アライメント、歩行やスクワットなどの動作にも影響する可能性があります。


ただし、クレイグテストだけで正確な前捻角を判断することはできません。


股関節可動域や動作評価と組み合わせ、構造的な特徴を考慮しながら、リハビリや運動指導の判断材料として活用することが重要です。



参考文献


  1.  Scorcelletti, M., Reeves, N. D., Rittweger, J., & Ireland, A. (2020). Femoral anteversion: significance and measurement. Journal of Anatomy, 237(5), 811–826.

  2. Clinical Physio Premium. (n.d.). Obers test for hip [Video]. YouTube.

  3. Souza, R. B., & Powers, C. M. (2009). Concurrent criterion-related validity and reliability of a clinical test to measure femoral anteversion. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy, 39(8), 586–592.

  4. Uota, S., Morikita, I., & Shimokochi, Y. (2019). Validity and clinical significance of a clinical method to measure femoral anteversion. The Journal of Sports Medicine and Physical Fitness, 59(11), 1908–1914.

  5. Choi, B. R., & Kang, S. Y. (2015). Intra- and inter-examiner reliability of goniometer and inclinometer use in Craig's test. Journal of Physical Therapy Science, 27(4), 1141–1144.


bottom of page