ファーマーズキャリーとスーツケースキャリーの違いとは?効果と使い分けを解説
- 8 時間前
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はじめに
買い物をしたとき、持ち上げるだけならそれほど重く感じなかった荷物でも、持ったまま歩き続けると、次第に腕や肩が疲れ、重く感じることがあります。
なぜ、同じ重さの荷物でも「持ち上げる」より「持ち運ぶ」ほうがきつく感じるのでしょうか。
キャリーエクササイズ(Loaded Carry)は、重りを保持したまま歩くトレーニングです。
代表的な種目には、両手に重りを持つファーマーズキャリー(Farmer’s Carry)と、片手に重りを持つスーツケースキャリー(Suitcase Carry)があります。
一見すると単純な動作ですが、重りを支えながら姿勢を保ち、歩き続けるためには、握力や肩関節周囲筋、体幹筋などを同時に働かせる必要があります。
本記事では、ファーマーズキャリーとスーツケースキャリーによって身体にどのような負荷が加わるのかを整理し、それぞれの効果や目的に応じた使い分け、実践方法について解説します。
キャリーエクササイズとは?ファーマーズキャリーとスーツケースキャリーの特徴
キャリーエクササイズとは、荷重を保持しながら歩行する運動の総称です。荷重の配分によって、大きく2つの系統に分けられます。

エクササイズ名 | 重りを持つ位置 | 方法 |
ファーマーズキャリー(Farmer’s Carry) | 両手(左右対称負荷) | 両手に重りを持ち、左右均等に負荷をかけて歩く |
スーツケースキャリー(Suitcase Carry) | 片手(左右非対称負荷) | 片手だけに重りを持ち、左右非対称の負荷をかけて歩く |
いずれも「歩きながら荷重を保持する」という共通点を持ちながら、荷重の位置によって体に求められる仕事が変わってきます。
キャリーエクササイズにはさまざまな方法がありますが、今回は代表的な2つの種目について、それぞれの特徴と使い分け方を紹介します。
なぜ「持ち運ぶ動作」は「持ち挙げる動作」より大変に感じるのか?
デッドリフトのようなエクササイズは、重りを持ち上げて下ろすまでの比較的短い時間に、大きな力を発揮します。
一方、キャリーエクササイズでは、重りを持ち続けながら歩き、姿勢を安定させなければなりません。
そのため、下肢を動かしながら、握力や肩関節周囲筋、体幹筋を持続的に働かせる必要があります。
両手と片手では、体幹への負荷が変わる
キャリーエクササイズは、重りを両手に持つか、片手に持つかによって、体幹に加わる負荷が異なります。

Ellestadら(2024)は、ファーマーズキャリー(両手)とスーツケースキャリー(片手)のいずれも、静止保持と比べて、腰部多裂筋、最長筋、腹直筋、外腹斜筋の活動が高まると報告しています[2]。
これは、重りを持って歩くことで身体に上下動や左右への揺れが生じ、姿勢を安定させるために体幹筋の働きがより求められるためと考えられます。
特にスーツケースキャリーでは、身体を荷重側へ傾けたり、回旋させたりする力に抵抗しながら歩く必要があります。そのため、静止保持と比べて、荷重側の腹直筋と外腹斜筋の活動が高まることも示されています。

一方、McGillら(2013)は、同じ総重量でも、片手で持つほうが両手に分けて持つより、L4/L5レベルに加わる脊柱圧縮力と剪断力が大きくなると報告しています。この差は、重量が増えるほど顕著になる傾向が示されています[3]。
目的に応じたキャリーエクササイズの選び方
キャリーエクササイズは、目的や獲得したい身体機能、対象者の状態に応じて、次のように使い分けることができます。
目的 | おすすめの種目 | 特徴・注意点 |
体幹を安定させる力を高める | ファーマーズキャリー(Farmer’s Carry) | 両手に重りを持つことで左右均等に負荷が加わり、歩行中に姿勢を安定させる能力を高められます。 |
身体の傾きや回旋を抑える力を高める | スーツケースキャリー(Suitcase Carry) | 片手に重りを持つことで左右非対称の負荷が加わり、体幹の側屈や回旋を抑えて姿勢を安定させる能力を高められます。脊柱への負荷も大きくなるため、軽い重量から始めます。 |
握力を高める | ファーマーズキャリー(Farmer’s Carry)/スーツケースキャリー(Suitcase Carry) | 重りを握ったまま歩くことで握力に負荷が加わり、荷物を持ち運ぶ能力を高められます。 |
まとめ
キャリーエクササイズは、重りを保持しながら歩くことで、握力や体幹筋を同時に働かせる実践的なトレーニングです。
両手で重りを持つファーマーズキャリーは、左右均等に負荷をかけながら姿勢を安定させる能力を高めます。
一方、片手で行うスーツケースキャリーは、体幹の側屈や回旋を抑える力が求められますが、脊柱への負荷も大きくなる可能性があります。
対象者の身体機能や目的に応じて種目を選び、軽い重量から段階的に負荷を調整しましょう。
参考文献
Hindle, B. R., Lorimer, A., Winwood, P., & Keogh, J. W. L. (2019). The biomechanics and applications of strongman exercises: A systematic review. Sports Medicine – Open, 5, 49.
Ellestad, S. H., Holcomb, T. P., Swiergol, A. M., Holmstrup, M. E., & Dicus, J. R. (2024). The quantification of muscle activation during the loaded carry movement pattern. International Journal of Exercise Science, 17(1), 480–490.
McGill, S. M., Marshall, L., & Andersen, J. (2013). Low back loads while walking and carrying: Comparing the load carried in one hand or in both hands. Ergonomics, 56(2), 293–302.





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