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後頭下筋群の役割とは?機能解剖と徒手的アプローチ・セルフケアを解説

  • 14 時間前
  • 読了時間: 5分

はじめに


後頭下筋群は、大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋の4つの筋から構成され、後頭骨と第1・第2頸椎(環椎・軸椎)をつなぐ深層筋群です。


一つひとつは非常に小さな筋ですが、頭部の伸展や回旋に加え、頭の位置や動きを感知する固有受容感覚にも関わっており、視覚や前庭感覚から得られる情報と連携しながら、頭頸部の細かな動きを調整している点も大きな特徴です。


長時間のデスクワークやスマートフォンの使用など、頭部を一定の位置に保つ時間が続くと、後頭下筋群に緊張や圧痛がみられることがあります。


そのため、首の動かしにくさや後頭部周辺の不快感がある場合には、評価する部位の一つとして確認しておきたい筋群です。


本記事では、後頭下筋群の機能解剖を確認し、固有受容感覚との関係について整理し、リハビリや運動指導の現場で使える徒手的アプローチとセルフマッサージの方法を、実践時のポイントや注意点を交えながら解説します。


後頭下筋群を構成する4つの筋肉とその役割


後頭下筋群の解説スライド。頭蓋骨と首の骨格図に上斜頭筋・小後頭直筋・大後頭直筋・下斜頭筋が赤で示され、左に日本語の説明文がある。

後頭下筋群は、後頭骨と上位頸椎の間に位置する深層筋群で、以下の4つの筋から構成されます[1]。


主に後頭骨と第1頸椎(環椎)、第2頸椎(軸椎)をつなぎ、頭を後ろに反らす、横に傾ける、左右に向けるといった動きに関わります。


また、頭の位置や動きを細かく調整し、頭部や首を安定させる役割も担っています。


後頭部と頸椎の解剖図。大後頭直筋、小後頭直筋、上斜頭筋、下斜頭筋の起始・停止を示し、Physioplusの説明文付き

筋肉名

起始

停止

作用

大後頭直筋

軸椎(C2)の棘突起

下項線の中間1/3

両側:頭部の後屈片側:頭部を同側へ回旋

小後頭直筋

環椎(C1)の後結節

下項線の内側1/3

両側:頭部の後屈片側:頭部を同側へ回旋

上頭斜筋

環椎(C1)の横突起

大後頭直筋の停止部の上部

両側:頭部の後屈片側:頭部を同側へ傾け、反対側へ回旋

下頭斜筋

軸椎(C2)の棘突起

環椎(C1)の横突起

両側:頭部の後屈片側:頭部を同側へ傾け、反対側へ回旋


後頭下筋群は、頭頸部の伸展、回旋、側屈に関与し、上位頸椎の細かな動きを調整しています。


このうち、大後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋の3筋は、後頭下三角(suboccipital triangle)と呼ばれる領域を形成します。下頭斜筋だけは後頭骨に付着せず、環椎と軸椎をつないでいる点が特徴です。


ただし、大きな力を発揮するというよりも、頭部の位置や動きを感知しながら運動を細かく制御する役割が重要です。その背景には、後頭下筋群に備わる固有受容機能が深く関係しています。



後頭下筋群と固有受容感覚の関係


後頭下筋群の特徴を理解するうえで重要なのが、筋紡錘の密度です。筋紡錘とは、筋の長さやその変化を感知し、身体の位置や動きに関する情報を神経系へ伝える感覚受容器です。


ヒト胎児の標本を用いた研究では、後頭下筋群に多くの筋紡錘が存在することが報告されています。


筋重量1gあたりの筋紡錘数は、上頭斜筋で190個、下頭斜筋で242個に達し、一般的な四肢の筋と比べて高い密度を示しました[2]。


つまり、後頭下筋群は頭部を動かすだけでなく、頭部と体幹の位置関係を感知し、視覚や前庭感覚から得られる情報と連携しながら、頭部の位置や上位頸椎の細かな動きを調整する役割を担う筋群であると考えられています。


そのため、後頭下筋群への介入では、頭部の位置感覚や眼球運動、頸部の運動制御といった機能の改善も考慮し、目的に応じたアプローチを選択することが重要です。



後頭下筋群への徒手的アプローチとセルフケア


ここからは、後頭下筋群に対する徒手的アプローチと、クライアント自身が実践できる3つのセルフケアエクササイズを紹介します。


1.後頭下筋群への徒手的アプローチ



  1. 対象者は仰向けになり、首や肩の力を抜きます。

  2. 施術者は頭側に位置し、両手で後頭部を支えます。

  3. 第2〜4指の指腹を後頭骨の下縁に当て、頭部の重みを利用してやさしく圧を加えます。

  4. わずかに頭頂方向へ牽引しながら、心地よい圧を1〜3分程度保ちます。



2.後頭下筋群へのセルフリリース



  1. 椅子に座り、首や肩の力を抜きます。

  2. 両手で頭部を支え、親指の腹を後頭骨のすぐ下にあるくぼみに当てます。

  3. 斜め上の奥方向へ、心地よい範囲でゆっくり圧を加えます。

  4. 15〜30秒程度保持するか、小さな円を描くように動かします。

  5. 親指の位置を少しずつ変えながら行い、最後はゆっくり圧を抜きます。



3.後頭下筋群へのセルフリリース



  1. 仰向けになり、両膝を立ててリラックスします。

  2. 横向きに置いたストレッチポールを、後頭骨のすぐ下に当てます。

  3. 首や肩の力を抜き、頭の重みをポールに預けます。

  4. 頭を左右へ小さくゆっくり動かし、後頭下筋群をほぐします。

  5. 緊張を感じる部分では動きを止め、心地よい範囲で圧を保ちます。



まとめ


後頭下筋群は、後頭骨と第1・第2頸椎をつなぐ4つの小さな深層筋で、頭部の伸展や回旋、側屈に関わります。


また、筋紡錘が高密度に存在し、頭部や頸部の位置・動きを感知して、視覚や前庭感覚と連携しながら細かな運動や姿勢を調整する役割も担っています。


長時間のデスクワークなどによって緊張しやすいため、徒手的アプローチやセルフリリースを目的に応じて取り入れることが有効です。


実施時は強く押しすぎず、心地よい範囲で行い、痛みや違和感、めまいなどが生じた場合は中止しましょう。



参考文献


  1. Schünke M, Schulte E, Schumacher U(著),坂井建雄,松村讓兒(監訳):プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系.医学書院,東京,2009.

  2. Kulkarni, V., Chandy, M. J., & Babu, K. S. (2001). Quantitative study of muscle spindles in suboccipital muscles of human foetuses. Neurology India, 49(4), 355–359.


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