Y バランステスト(YBT)のやり方と評価方法|スコアの見方・SEBTとの違いをわかりやすく解説
- 7月15日
- 読了時間: 7分
更新日:7月18日
はじめに
リハビリや運動指導では、痛みや関節可動域だけでなく、動きの安定性やバランス能力が十分に回復しているかを評価することが重要になります。
特に動的バランス能力は、日常生活動作の自立や傷害予防、スポーツ復帰(Return to Sport)の判断において重要な評価項目の一つです。
その動的バランス能力を客観的に評価する方法として、現在、臨床やスポーツ現場で広く用いられているのがY バランステスト(YBT:Balance Test)です。
YBTは、片脚立位で3方向へリーチするシンプルな評価でありながら、動的バランス能力や左右差を定量的に把握できることから、多くの研究や現場で活用されています。
本記事では、YBTの目的ややり方、結果の解釈に加え、スター・エクスカーション・バランステスト(SEBT:Star Excursion Balance Test)との違いや明日からの評価や運動指導に活かせる実践的な視点をお伝えします。
Yバランステスト(Y Balance Test :YBT) とは?
Yバランステスト(Y Balance Test :YBT)とは、下肢の動的バランス能力を客観的に評価するためのテストです。

動的バランスとは、身体を動かしながら重心を支持基底面内で適切に制御し、姿勢を維持する能力を指します。
日常生活やスポーツでは、歩行や方向転換、着地など、身体を動かしながらバランスを保つ場面が多く、静止した姿勢を保つ能力(静的バランス)とは異なる能力が求められます[1]。
YBTでは、片脚立位を保持したまま反対側の下肢を3方向へリーチすることで、下肢の動的バランス能力を定量的に評価します。この評価を通して、以下のような項目を把握することができます[2]。

下肢(足関節・膝関節・股関節)の可動性、筋力、神経筋コントロールの総合的な評価 |
左右のリーチ距離の差(左右差・非対称性)の評価 |
下肢傷害リスクやスポーツ復帰時の評価・スクリーニング |
Y Balance Test (YBT) のやり方[3]
評価手順

検査前に、評価者がデモンストレーションを行います(動画による説明でも可)。
被験者は裸足(または靴下)になり、母趾を3方向のラインが交わる中心に合わせます。両手は腰に当て、片脚立位を保持します。
非支持脚を各方向へ可能な限り遠くまでリーチし、開始姿勢へ戻ります。
左右それぞれ各方向に練習試技を行った後、本試技を3回測定し、各方向の最大到達距離(cm)を記録します。
正しく測定するための注意点
以下のいずれかの動作が認められた場合は、その試技を無効とし、再測定を行います。

バランスを崩し、リーチ脚が床に接地する
リーチ脚へ体重をかける
リーチ脚が床へ複数回接地する、または測定ラインから外れる
支持脚が動く、踵が浮く(※注)、足部の一部が床から離れる
手が腰から離れる
※支持脚の踵を接地したまま行う方法と、踵が浮くことを許容する方法があり、実施方法は施設や測定方法によって異なります。評価結果を正しく比較するためには、一度決めた方法で統一し、初回評価から再評価まで同じ条件で測定することが重要です。
スコアの算出方法
YBTでは、各方向(前方・後内側・後外側)の到達距離を、脚の長さで補正して評価します。これは、脚の長さが長い人ほど到達距離が長くなり、有利になる影響をなくすためです。
算出手順
評価をおこなう前に仰臥位(背臥位)にて、上前腸骨棘(ASIS)から遠位の内果(くるぶし内側)の下端までの距離をメジャーで測定します。
各方向を3回測定し、到達距離の平均値を求めます。
その平均到達距離を下肢長(ASIS〜内果)の長さで割ります。
最後に100を掛けて、%下肢長(Normalized Reach Distance)として表します。
計算式
%下肢長 =(平均到達距離 ÷ 下肢長)×100
例
下肢長:90 cm
前方リーチの平均到達距離:72 cm
(72 ÷ 90) × 100 = 80%
この場合、前方方向のリーチ距離は80%下肢長と評価します。



