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胸鎖乳突筋のストレッチ方法と機能解剖|起始・停止、作用、姿勢との関係

3時間
読了時間: 4分

はじめに


胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid:SCM)は、首の前外側に位置する筋肉で、頚部の屈曲・側屈・回旋に関与しています。


体表から触診しやすく、ストレッチや姿勢改善などの運動指導でもよく取り上げられる筋肉の一つです。


また、胸鎖乳突筋は首を動かすだけでなく、頭頚部の姿勢保持や運動制御にも関わっており、頚部痛との関連も報告されています。


本記事では、胸鎖乳突筋の解剖学的特徴と作用、頚部痛との関係、ストレッチの方法についてわかりやすく解説します。


胸鎖乳突筋の構造と機能


胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid:SCM)は、首の前外側に位置し、胸骨頭と鎖骨頭の2つの筋頭から構成される筋肉です。


胸骨柄と鎖骨近位部から起始し、上方へ走行して側頭骨の乳様突起および後頭骨の上項線外側部に付着します[1,2]。


胸鎖乳突筋の機能解剖を示したイラスト。正面・側面から筋肉の走行を示し、起始(胸骨柄・鎖骨内側部)、停止(乳様突起・上項線外側部)を解説。頚椎屈曲・側屈・回旋・上位頚椎伸展など、胸鎖乳突筋の主な作用を紹介しています。

起始

胸骨柄の前面(胸骨頭)、鎖骨内側部の上面(鎖骨頭)

停止

側頭骨の乳様突起、後頭骨の上項線外側部


胸鎖乳突筋の作用(機能)


胸鎖乳突筋は、頚椎の屈曲・側屈・回旋に関わる筋肉であり、頭部の位置や姿勢によって屈曲と伸展の両方に作用する特徴があります[1]。


左右の筋が同時に収縮すると主に頚椎の屈曲に作用し、片側が収縮すると頭部を反対側へ回旋させ、同側へ側屈させます。また、上位頚椎では伸展にも関与するため、顔を反対側の斜め上方へ向ける動きにも作用します。


さらに、胸鎖乳突筋は斜角筋群とともに、努力性吸気時に胸骨や鎖骨を引き上げ、胸郭の拡大を補助する呼吸補助筋としても機能します[3]。



頚椎屈曲

左右の胸鎖乳突筋が同時に収縮し、首を前方へ曲げる動き。

頚椎側屈

頭部を同側へ傾ける動き。右側の胸鎖乳突筋が収縮すると右側屈が生じる。

頚椎回旋

頭部を反対側へ回す動き。右側の胸鎖乳突筋が収縮すると左回旋が生じる。

上位頚椎伸展

頭部を後方へ傾ける動き。頚椎の肢位によって伸展方向にも作用する。

努力性吸気の補助

頭頚部が固定された状態で胸骨や鎖骨の挙上を助け、胸郭の拡大を補助する働き。


胸鎖乳突筋と頭部前方位姿勢(FHP)の関係



頭部前方位姿勢(FHP)では、頭部が前方へ移動することで下位頚椎の屈曲と上位頚椎の伸展が生じやすくなり、胸鎖乳突筋が短縮位に置かれたり、筋緊張が高まったりする可能性があります[4]。


そのため、頭部前方位姿勢がみられる場合には、姿勢と評価したり、胸鎖乳突筋の短縮や筋緊張の可能性を考慮しながら、筋の長さや柔軟性、頚椎の可動域などを評価することがポイントになります。



胸鎖乳突筋のセルフストレッチ|実施方法と手順


胸鎖乳突筋は、片側が収縮すると頭部を同側へ側屈させ、反対側へ回旋させる働きがあります。また、頭頚部の位置によっては伸展にも作用します[1]。


そのため、胸鎖乳突筋をストレッチする際には、筋肉の作用と反対方向となる「反対側への側屈」と「同側への回旋」を組み合わせることが基本となります。


例えば、右側の胸鎖乳突筋を伸ばす場合は、頭部を左へ傾けながら、顔を右側へ向けることで筋肉を伸張させることができます。



胸鎖乳突筋のセルフストレッチ



  1. 背筋を自然に伸ばし、肩の力を抜きます。

  2. 右側の胸鎖乳突筋を伸ばす場合、頭部をゆっくり左側へ傾けます。

  3. その姿勢から顔を少し右側へ回旋させます。

  4. 必要に応じて頭部をわずかに後方へ傾け、首の前外側に軽い伸張感が得られる位置で保持します。

  5. 呼吸を止めずに保持し、ゆっくり元の姿勢に戻します。


首を側屈・伸展・回旋して胸鎖乳突筋を伸ばす自己ストレッチの図。椅子に座る人物と筋肉付き骨格、説明文とPhysioPlus表記。


まとめ


胸鎖乳突筋は、頚椎の屈曲・側屈・回旋に関与し、頭頚部の姿勢保持や努力性吸気の補助にも働く筋肉です。


頭部前方位姿勢(FHP)では、胸鎖乳突筋が短縮位に置かれたり、筋緊張が高まったりする可能性があるため、筋の長さや柔軟性、頚椎の可動域を評価することがポイントになります。


ストレッチを行う際は、反対側への側屈と同側への回旋を組み合わせることで胸鎖乳突筋を伸張することが可能です。


セルフストレッチを処方する際には、頚部の状態や症状を確認しながら、無理のない範囲で安全に行いましょう。



参考文献


コメント


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