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FHP(頭部前方位姿勢)の評価方法|CVA角の測定・基準値・頚部痛との関連

  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

はじめに


リハビリや運動指導の現場では、慢性的な首の痛みや肩こりを抱える人に、頭部が前方へ突出した姿勢をよく見かけます。


その際、頭部前方位姿勢(FHP:Forward Head Posture)やストレートネックという言葉が使われますが、この2つは同じ意味ではありません。


本記事では、FHPとストレートネックの違いを整理するとともに、FHPを客観的に評価する指標であるCVA角(Craniovertebral Angle:頭頚角)の測定方法について解説します。


基本的な知識を整理し、姿勢評価に活かしていきましょう。



FHP(Forward Head Posture:頭部前方位姿勢)とは?


FHP(Forward Head Posture:頭部前方位姿勢)とは、矢状面において頭部が体幹(肩)より前方へ位置した姿勢を指します。


FHP(頭部前方位姿勢)の概要を示したイラスト。頭部が肩より前方へ位置した姿勢と、上位頸椎の伸展・下位頸椎の屈曲を図示し、関連する筋として後頭下筋群、僧帽筋・肩甲挙筋、頸部深層屈筋を示している。提供:フィジオプラス

解剖運動学的には、単に首が前に出ている姿勢ではなく、以下の2つの動きが組み合わさったアライメントです。


  • 下位頚椎の屈曲

  • 上位頚椎(後頭環椎関節・環軸関節)の過伸展


この姿勢になるのは、頭部が前方へ移動しても視線を水平に保つため、上位頚椎が代償的に伸展するためです。


FHPが続くと、頭部の重心が頚椎より前方へ移動し、頭部を支えるための負担が増加します。その結果、頚椎後方の筋肉や靱帯、関節包にかかる機械的ストレスが大きくなります。


特に、後頭下筋群、僧帽筋上部、肩甲挙筋は持続的な活動を強いられ緊張しやすくなります。


一方で、頚部の前面に付着する頚部深層屈筋(頭長筋・頚長筋など)は機能が低下し、筋のアンバランスが生じやすくなると考えられています。


このような筋のアンバランスは、Jandaが提唱した上位交差性症候群(Upper Crossed Syndrome)として知られています。


上位交差性症候群(Upper Crossed Syndrome:UCS)の模式図。頭部前方位姿勢に伴い、硬くなりやすい筋肉(後頭下筋群、胸鎖乳突筋、僧帽筋上部線維、肩甲挙筋、大胸筋、小胸筋)と、弱くなりやすい筋肉(頸部屈筋、僧帽筋中・下部線維)の筋バランスを交差パターンで示している。提供:フィジオプラス。


FHPとストレートネックは何が違う?


FHPとストレートネックは、リハビリテーションや運動指導の現場でよく用いられる用語です。


両者は混同されることが多いため、まずはそれぞれの定義や評価対象、主な評価方法の違いを整理していきましょう。


項目

FHP(頭部前方位姿勢)

ストレートネック

定義

頭部が肩(または体幹)より前方へ位置した姿勢

頚椎の生理的前弯(本来ある首のカーブ)が減少した状態

評価するもの

姿勢(頭と体幹の位置関係)

頚椎のアライメント

主な評価方法

写真撮影、CVA角の測定

X線(レントゲン)検査


正常な頚椎アライメントは、頭部の重さや衝撃を分散するために、緩やかな前弯(生理的前弯)を描いています。


ストレートネックとは、この生理的前弯が減少または消失し、頚椎アライメントが直線化した状態を指します。


一方、FHP(頭部前方位姿勢)は、頭部が肩(または体幹)より前方へ位置した姿勢を示す概念です。つまり、FHPは姿勢の異常、ストレートネックは頚椎アライメントの異常を表します。



FHPを評価するCVA角(Craniovertebral Angle)の測定方法


CVA角(Craniovertebral Angle:頭頚角)は横から撮影した写真を用いて測定します。測定手順は以下のとおりです[1]、[2]。


FHP(頭部前方位姿勢)の評価に用いられるCVA角(頭頸角)の測定方法を示したイラスト。耳珠とC7棘突起をランドマークとし、両点を結ぶ線と水平線がなす角度(Craniovertebral Angle:CVA)を測定する方法を示している。提供:フィジオプラス。

  1. ランドマークの設定:C7棘突起と耳珠(耳の穴の前にある小さな軟骨)にマーカーを貼付します。

  2. 写真撮影:被験者は、リラックスした自然な立位または座位をとります。カメラを肩の高さに合わせ、対象者を真横から水平に撮影します。

  3. 角度の測定:C7棘突起を通る水平線と、C7棘突起から耳珠を結ぶ直線とのなす角をCVA角として測定します。


CVA角の評価基準と結果の解釈


一般的に、CVA角50°未満が頭部前方位姿勢(FHP)のカットオフ値として用いられています。


CVA角は、角度が小さいほど頭部が前方へ突出していることを示します。


**代替テキスト(Altテキスト)**

FHP(頭部前方位姿勢)の評価指標であるCVA角(頭頸角)の結果と解釈を示したイラスト。耳珠とC7棘突起を結ぶ線と水平線のなす角度を測定し、CVA角50°以上を正常、50°未満をFHP(頭部前方位姿勢)の目安として示している。提供:フィジオプラス。

文献によっては、FHPをさらに重症度別に以下のように分類しています[1]。


軽度FHP

40.0〜49.9°

中等度FHP

30.0〜39.9°

重度FHP

30.0°未満


頚部痛(首の痛み)や機能障害との関連性について


FHPは頸部痛と関連する姿勢異常の一つとされており、成人や高齢者では、FHPと頸部痛との関連が報告されています。[3]。


一方、青年ではFHPと頸部痛との関連は認められませんでした。


その背景には、筋・腱や関節などの組織が加齢による影響を受けにくく、姿勢の変化がそのまま痛みにつながりにくいことなどが関係している可能性があります。


したがって、FHPは頚部痛のリスクを評価する一つの指標ではありますが、姿勢だけで痛みの原因を判断するのではなく、年齢や身体機能、生活習慣なども含めて総合的に評価することが重要です。



まとめ


FHP(頭部前方位姿勢)は、頭部が体幹より前方へ位置した姿勢を示す概念であり、ストレートネックとは異なるものです。


ストレートネックは頚椎の生理的前弯が減少した状態を指し、両者は評価する対象が異なります。


FHPの評価には、写真撮影によって測定できるCVA角(頭頸角)が広く用いられており、50°未満がFHPの目安とされています。角度が小さいほど頭部前方位姿勢の程度が強いことを示します。


また、FHPは成人や高齢者では頚部痛と関連することが報告されていますが、姿勢だけで痛みの原因を判断することはできません。


年齢や身体機能、生活習慣なども含めて総合的に評価し、その人に合わせた運動療法や生活指導につなげることが重要です。



参考文献


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