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Joint by Joint Theory(ジョイントバイジョイント理論)とは?関節の可動性と安定性から身体のつながりを考える

9月4日
読了時間: 5分

更新日:9月5日


はじめに


膝に痛みがあるときに足関節の可動性を確認したり、腰痛に対して股関節の動きを評価したりするように、現場では症状が出ている部位だけでなく、その周囲にある関節にも目を向けることがあります。


例えば、膝の問題を「膝だけの問題」として捉えるのではなく、足関節や股関節を含めて身体全体のつながりから考えていくという視点です。


こうした関節同士の関係性を考えるうえで、よく知られているのがJoint by Joint Theory(ジョイント・バイ・ジョイント・セオリー=関節ごとのアプローチ)です。


本記事では、Joint by Joint Theoryの基本的な考え方や各関節に求められる役割を整理するとともに、関連するRegional Interdependence(局所間の相互依存)の概念にも触れながら、両者の関係性や違いについて分かりやすく解説していきます。


Joint by Joint Theory(ジョイント・バイ・ジョイント・セオリー)とは何か?


ジョイント・バイ・ジョイント理論における各関節の役割を示した図。頸椎、肩関節、肩甲骨、胸椎、腰椎、股関節、膝関節、足関節などの可動性と安定性を色分けして示している。

JBJは、理学療法士のGray Cook氏とストレングスコーチのMichael Boyle氏が、Functional Movement Screen(FMS)の知見をもとに提唱した概念です。


2007年にBoyle氏が業界誌T Nationに寄稿した記事が、この概念が広く知られるきっかけとなりました[1]。


Joint by Joint Theoryは身体の各関節には、それぞれ異なる役割があり、よく動くこと(可動性)が求められる関節と、安定して支えること(安定性)が求められる関節があると考えます。


そして、足元から身体を見ていくと、可動性と安定性が求められる関節が交互に並んでいるというのが、JBJの基本的な考え方です。



代表的な例として、以下のような対応が示されています。

安定性/Stability

可動性/Mobility

足部

足関節

膝関節

股関節

腰椎

胸椎

肩甲骨

肩関節

肘関節

手関節


この考え方では、ある関節が本来求められる可動性を欠くと、その上下にある関節が代償的に動くようになり、結果として痛みや傷害につながる可能性があると捉えます。


例えば、可動性が求められる胸椎の動きが低下すると、それを補うために肩関節や、本来安定性が求められる頸椎・腰椎が過剰に動き、肩や首、腰への負担につながる可能性があります。


「ジョイント・バイ・ジョイント理論における脊柱の役割を示した図。頸椎(C1-7)は安定性、胸椎(T1-12)は可動性、腰椎(L1-5)は安定性が求められることを示している。
ジョイント・バイ・ジョイント理論における脊柱の役割を示した図。胸椎の可動性が低下すると、肩関節や頸椎、腰椎で動きを代償し、肩・首・腰への負担につながる可能性があることを示した図。

そのため、肩の痛みに対して胸椎の可動性を評価するなど、症状のある部位だけでなく、その周囲の関節にも目を向けて評価していきます。


ここで注意したいのは、Joint by Joint Theoryそのものが痛みや傷害の原因を直接説明するために体系的に検証された理論ではないという点です。


そのため、「足関節の可動性が低いから膝が痛い」といったように、一つの関節の機能不全だけで症状の原因を決めつけるのではなく、臨床推論を広げるための一つの枠組みとして活用することが重要です。



症状のある部位だけを見ない、Regional Interdependence(局所間相互依存)という概念


では、症状のある部位だけでなく、離れた部位の機能にも目を向ける」という考え方は、研究の中ではどのように捉えられているのでしょうか?


ここで関連するのが、Regional Interdependence(局所間相互依存)という概念です。


この概念は2007年にWainnerらによって、整形外科的理学療法における臨床評価の考え方として提示されました[2]。


簡単に説明すると、症状がある部位とは離れた部位の機能が、その症状に関係している可能性があるという考え方になります。


例えば、肩に症状があるからといって肩だけを評価するのではなく、胸椎などの関連する部位にも目を向ける。


腰痛であれば、腰部だけでなく股関節なども含めて評価するといったように、主訴のある部位だけに限定せず、関連する可能性のある部位まで評価の範囲を広げて考えていきます。


一見すると、Joint by Joint Approach(関節ごとのアプローチ)とRegional Interdependence(局所間相互依存)は似ていますが、その考え方には違いがあります。


Joint by Joint Approachは、「可動性」と「安定性」という各関節の役割から身体を捉える考え方です。一方、Regional Interdependenceは、症状のある部位だけでなく、離れた部位の機能も症状に影響する可能性があると考えます。


Regional Interdependenceについてはさまざまな研究が行われており、離れた部位が症状に影響する仕組みには、身体の構造や動きだけでなく、神経系の反応など複数の要因が関係すると考えられています[3]。


このように、この2つは異なる概念ですが、どちらも症状のある部位だけにとらわれず、身体を広く捉えるための考え方といえます。



まとめ


Joint by Joint Theoryは、各関節に求められる役割を「可動性」と「安定性」という視点から整理し、身体のつながりを捉えるための考え方です。


この考え方を活用することで、症状のある部位だけを見るのではなく、その上下にある関節の機能にも目を向け、評価の視点を広げることができます。


ただし、「足関節が硬いから膝が痛い」といったように、一つの関節の機能不全だけで症状の原因を決めつけるのではなく、臨床推論を広げるための一つの枠組みとして活用することが重要です。


また、Regional Interdependenceという概念からも、症状のある部位だけでなく、離れた部位の機能が症状に関係する可能性が示されています。


Joint by Joint TheoryとRegional Interdependenceは異なる概念ですが、どちらも症状のある部位だけにとらわれず、身体全体のつながりに目を向けるという点で、評価や運動指導の視点を広げるヒントになります。


現場では、「痛い場所=問題のある場所」と決めつけるのではなく、その周囲にどのような機能低下や代償が起きているのかという視点を持ちながら、機能評価や運動指導につなげていくことが重要です。



参考文献


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