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チョップ&リフトとは?目的・やり方と片膝立ち・両膝立ちの使い分けを解説

  • 13 時間前
  • 読了時間: 7分

はじめに


チョップ&リフトは、両上肢を斜め方向に動かしながら、体幹の安定性や全身の連動性を高めるエクササイズです。


コンディショニングの現場で広く用いられていますが、「なぜ斜め方向に動かすのか」「どのような目的で行うのか」まで説明される機会は限られています。


チョップ&リフトは、単に上肢を斜め方向へ動かすエクササイズではなく、上肢の動きに対して体幹を適切なタイミングで働かせ、上肢・体幹・下肢を連動させながら姿勢を制御することが重要です。


チョップ&リフトの説明図。KEISERマシンの前で男性が片膝立ちでケーブルを引き、左に「目的とねらい」の説明文とPhysioplusロゴがある。

そのため、特定の筋を個別に鍛えるだけでなく、身体各部を協調させた動作パターンを獲得するためのエクササイズとして位置づけられます。


本記事では、チョップ&リフトの目的や意義、具体的な実施方法について、動作パターンの獲得という視点からわかりやすく解説します。


チョップ&リフトとは?斜め方向に動く全身運動


チョップ&リフトは、PNF(固有受容性神経筋促通法)における上肢の対角線パターンを応用したエクササイズです[1]。


両上肢を同時に使い、身体の正中線をまたぐように斜め方向へ動かします。


低い位置から高い位置へ持ち上げる動作が「リフト」、高い位置から低い位置へ振り下ろす動作が「チョップ」です。


Tall-Kneeling Cable Chop



実施方法


  1. ケーブルマシンの横で両膝立ちになり、ハンドルを両手で握ります。

  2. 背すじを伸ばし、体幹と骨盤を安定させます。

  3. ケーブルを高い位置から、反対側の腰に向かって斜め下へ引き下ろします。

  4. 姿勢を崩さないようにコントロールしながら、ゆっくり元の位置へ戻します。


Tall-Kneeling Cable Lift



実施方法


  1. ケーブルマシンの横で両膝立ちになり、低い位置のハンドルを両手で握ります。

  2. 背すじを伸ばし、体幹と骨盤を安定させます。

  3. ケーブルを身体の前を通して、反対側の肩の上へ斜めに引き上げます。

  4. 姿勢を崩さないように、ゆっくり元の位置へ戻します。



この動作の特徴は、一つの関節を一方向に動かすのではなく、複数の関節を協調させながら、斜めかつ螺旋状に動かすことです。


日常生活やスポーツでは、腕や脚を前後・左右へまっすぐ動かすだけでなく、身体をひねりながら手を伸ばす、斜め上に物を持ち上げるなど、複数の関節を組み合わせた動作が多くみられます。


チョップ&リフトは、こうした複合的な動作に近い運動パターンを用いて、上肢・体幹・下肢の連動を引き出すエクササイズです。


腕の動きによって体幹の安定性を引き出すエクササイズ


チョップ&リフトの特徴は、上肢に抵抗を加えることで、体幹の筋活動を引き出せることです。


PNFでは、身体の一部に加えた抵抗によって、直接動かしている部位だけでなく周囲の筋肉にも活動が広がる反応を波及(irradiation/overflow)と呼びます。


チョップ&リフトでは、上肢に抵抗を加えることで体幹の筋活動が引き出され、姿勢の安定につながります[1]。


例えば、チョップで上肢を斜め下方へ動かすと、体幹には前方へ傾いたり、回旋したりする力が生じます。


Half-Kneeling Cable Chop



実施手順


  1. ケーブルマシンの横で片膝立ちになり、ハンドルを両手で握ります。

  2. 背すじを伸ばし、体幹と骨盤を安定させます。

  3. ケーブルを高い位置から、反対側の腰に向かって斜め下へ引き下ろします。

  4. 姿勢を崩さないように、ゆっくり元の位置へ戻します。


Half-Kneeling Cable Lift



実施手順


  1. ケーブルマシンの横で片膝立ちになり、低い位置のハンドルを両手で握ります。

  2. 背すじを伸ばし、体幹と骨盤を安定させます。

  3. ケーブルを身体の前から、反対側の肩の上へ斜めに引き上げます。

  4. 姿勢を崩さないように、ゆっくり元の位置へ戻します。



姿勢を保つためには、その力に対抗するように体幹や骨盤を安定させなければなりません。


また、身体には上肢が動き始める前に、体幹筋を先行して働かせる仕組みがあります。


これは、上肢の動きによって姿勢が崩れることを予測し、あらかじめ身体を安定させる反応です。脊柱起立筋、多裂筋、腹横筋、腹斜筋群などが関与するとされています[1]。


つまり、チョップ&リフトは、意識的に体幹を固めるだけのエクササイズではなく、上肢の動きによって生じる力に対して体幹を適切なタイミングで働かせ、姿勢制御しながら全身の連動した動作パターンを身につけていくトレーニングです。



「片膝立ち」と「両膝立ち」の目的と使い分け


チョップ&リフトは、立位だけでなく、片膝立ち(ハーフニーリング:Half Kneeling)や両膝立ち(トールニーリング:Tall Kneeling)でも行われます。




膝立ちでチョップ&リフトを行う目的は、下肢による代償を抑え、上肢の動きに対して体幹や骨盤を安定させる動作パターンを学習することです。


立位では、足関節や膝関節を動かしたり、左右に体重を移したりすることで、体幹の不安定性を補うことができます。


一方、膝立ちでは足部や足関節による姿勢制御が制限されるため、体幹や骨盤に求められる安定性が高まります。


また、両膝立ちと片膝立ちは、四つ這いなどの床に近い姿勢から立位や歩行へ移行する過程に位置する「移行姿勢(transitional postures)」です。


両膝立ちは左右対称の姿勢であり、体幹や骨盤の左右差を確認しやすく、スクワットなどの左右

対称な動作につながります。


一方、片膝立ちは、一方の股関節が屈曲し、反対側が伸展する左右非対称の姿勢です。この下肢の相反性パターンによって、ランジや片脚立位、歩行などに必要な姿勢制御を確認しやすくなります。


このように、チョップ&リフトでは上肢の動かし方だけでなく、目的に応じて両膝立ちと片膝立ちを使い分けることが重要です。



チョップ&リフトを現場で活用するためのヒント


チョップ&リフトは、エクササイズとしてだけでなく、動作パターンの左右差を確認するための評価にも活用できます。


現場では姿勢や負荷などの条件をそろえて行い、左右差や反復回数や動作の質を比較します。


手順

実施内容

確認するポイント

① 負荷を設定する

8回以上反復できる負荷を選ぶ

左右とも同じ負荷・姿勢で行う

② 左右で実施する

正しい動作を維持できる最大反復回数を測定する

反復回数、姿勢の崩れ、動作の滑らかさ、代償動作など

③ 左右差を確認する

左右の反復回数と動作の質を比較する

筋力だけでなく、動作パターンの違いも確認する

④ 優先度や注意点

弱い側や動作の質が低い側を中心に練習する

正しい動作を維持できる負荷で行う

⑤ 再評価する

同じ条件で再度動作を確認するする

左右差や動作の質が改善したか確認する


チョップ&リフトでは、重い負荷を扱うことよりも、姿勢を保ちながら正確に動くことが重要です。


フォームが崩れたり、動作が滑らかに行えなくなったりする場合は、重量や抵抗を軽くします。


チョップは、重力やレバーアームの影響により、リフトよりも大きな負荷を扱いやすいとされています。Voightらは、チョップの負荷をリフトより約2/3大きくすることを提案しています[1]。


たとえば、リフトを6kgで行う場合、チョップは10kg程度が目安です。


ただし、この数値に厳密に合わせる必要はありません。動作の正確さを優先し、対象者が無理なくコントロールできる範囲で調整しましょう。



まとめ


チョップ&リフトは、PNFの対角線パターンを応用し、両上肢を斜め方向に動かしながら、体幹の安定性や全身の連動性を高めるエクササイズです。


上肢に加えた抵抗によって体幹の筋活動を引き出し、上肢の動きに対して姿勢を安定させる動作パターンを学習します。


片膝立ちや両膝立ちで行うことで、足部や足関節による代償を抑えながら、体幹や骨盤の安定性を確認できます。


また、左右で条件をそろえて行えば、反復回数や動作の質を比較する評価としても活用できます。


実施する際は、重い負荷を扱うことよりも、姿勢を保ちながら正確に動くことが重要です。


目的や対象者の能力に応じて姿勢と負荷を選び、評価・トレーニング・再評価を繰り返しましょう。


参考文献


コメント


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