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iPhoneのヘルスケアアプリで歩行データをどう見る?リハビリ・運動指導への活用方法を解説

  • 8月5日
  • 読了時間: 6分

更新日:6 日前


はじめに


歩行は、対象者の身体機能や日常生活の状態を捉えるうえで重要な指標の一つです。


歩行速度や歩幅などの評価は、臨床や運動指導の現場でも広く活用されています。


一方で、一般的な歩行評価で確認できるのは「その場・その瞬間」の歩行です。


例えば、院内やジムでは問題なく歩けていても、自宅や屋外では歩き方が異なるなど、評価場面と日常生活との間にギャップが生じることがあります。


そこで活用できるのが、スマートフォンによる歩行モニタリングです。


iPhoneのヘルスケアアプリでは、歩数だけでなく、歩行速度・歩幅・歩行両脚支持時間・歩行非対称性といった指標を日常生活の中で記録できます。


本記事では、Appleが公開している技術文書[1]をもとに、iPhoneヘルスケアアプリで測定できる歩行指標の特徴や精度を整理し、臨床や運動指導の現場でどのように活用できるのかを解説します。



この記事の内容を音声で聞く


iPhoneヘルスケアアプリの歩行データはどのくらい正確なのか?


**代替テキスト:**
iPhoneのヘルスケアアプリの概要。歩数、歩行速度、歩幅、歩行両脚支持時間、歩行非対称性など、日常生活における健康・活動データを記録・確認できることを示している。

iPhoneヘルスケアアプリの歩行データ精度についてのスライド。左に歩く男性のイラスト、右に歩数や歩行速度は高精度だが一部指標は誤差が大きいと説明。下にPhysioPlusロゴ。


Appleは、iPhoneによる歩行分析の精度を検証するため、高齢者と健常若年者を対象とした検証を行っています[1]。


高齢者では、歩行速度や歩幅などをiPhoneで測定し、歩行分析に用いられる圧力マットの実測値と比較しました。


また、歩行非対称性については、健常若年者に膝装具を装着して左右差のある歩行を再現し、指標の開発に用いています[1]。


検証では、圧力マットから得られる踵接地やつま先離地のタイミングを基準として、iPhoneによる推定値の妥当性や信頼性などが評価されています。


ただし、検証はランニングや上り坂など不規則な活動データを除外し、主に平坦な場所での歩行を対象としており、特定の疾患や特殊な歩行パターンを対象としたものではありません。


そのため、iPhoneの歩行指標は日常の歩行状態を把握する一つの手段として活用し、疾患や個々の歩行特性を踏まえて解釈することが重要です。



iPhoneでわかる5つの歩行データと見方


iPhoneのヘルスケアアプリでは、歩数だけでなく、歩行速度や歩幅、歩行の左右差なども確認することができます。


iPhoneの歩行データ解説スライド。活動量、歩数、歩幅、歩行速度などの画面例と、右にヘルスケア画面。

指標

何がわかる?

現場での見方

歩数

日常生活でどのくらい歩いているか

活動量の変化を確認する

歩行速度

普段どのくらいの速さで歩いているか

身体機能や歩行能力の変化を追う

歩幅

1歩あたりの歩幅

歩行速度などと合わせて変化を見る

歩行両脚支持時間

両足が地面についている時間の割合

歩行の安定性を考える参考にする

歩行非対称性

左右非対称な歩行が生じている割合

左右差が日常生活でどの程度みられるか確認する


このように、iPhoneでは歩行に関するさまざまなデータを確認することができます。


これらのデータを活用するうえで重要なのは、一つの数値だけで判断するのではなく、経時的な「変化」を見ることです。


歩行データは体調や活動量、歩行環境などによって変動するため、単回の値ではなく、数週間〜数か月の推移を確認しましょう。


また、歩数だけを見るのではなく、歩行速度や歩幅、両脚支持時間、歩行非対称性など、複数の指標を組み合わせることで、日常の歩行状態をより多面的に捉えることができます。


数値に変化がみられた場合は、その背景に疼痛や疲労、身体機能の変化などがないか、実際の歩行観察や身体機能評価と照らし合わせて考えることが重要です。



iPhoneの歩行データを現場でどう活用する?


ここからは、iPhoneの歩行データをリハビリや運動指導現場でどのように活用できるのか、具体例を紹介します。


歩数|日常の活動量を確認する


白背景のスライドで、2人の男性がタブレットの棒グラフを見ながら歩数を確認している。左に「歩数」「日常の活動量を確認する」、下にPhysioplus。

歩数は、対象者にとって最も理解しやすい指標の一つです。


高齢者を対象とした研究では、日常の歩数が多いことと全死亡リスクの低さとの関連が報告されています[2]。


「先月より平均歩数が増えていますね」「外出した日はこれくらい歩けていますね」など、実際の

データを一緒に確認することで、活動量を振り返り、運動や外出を続けるきっかけとして活用できます。



歩行速度|歩行能力の変化を確認する


歩行速度の説明図。白背景に「歩行速度」「歩行能力の変化を確認する」の文字、青い服の男性2人が歩行計測とタブレットで分析。

歩行速度の低下は、高齢者の転倒リスクなどとの関連が報告されています[3,4]。


iPhoneでは日常生活における歩行速度の推移を確認できるため、「以前より少し歩く速度が落ちていますね」といった変化に気づく材料になります。


大きな低下が続いている場合には、実際の歩行や筋力、バランス能力などを詳しく評価し、運動内容や生活環境を見直すきっかけにもなります。


歩行非対称性|怪我からの回復過程を確認する


歩行非対称性の見出しと「怪我からの回復過程を確認する」。膝に痛みを示す男性を、タブレットで確認する医療者風の男性。

怪我や手術後では、身体機能が回復していても、患側をかばうような歩行や左右差が残っていることがあります。


ACL再建術後のアスリートを対象とした研究では、競技復帰基準を満たした選手と満たしていない選手で、歩行パターンの左右差に違いがみられることが報告されています[6]。


また、身体的な回復基準を満たして競技復帰した後も、再受傷への不安が残る場合があることも報告されています[7]。


こうした回復過程では、筋力や6分間歩行テストなどの評価に加えて、日常生活における歩行非対称性の推移を確認することで、歩行の変化を対象者と共有するための一つの情報として活用できます。


これらの活用例は、iPhoneの歩行指標のみで診断や競技復帰などを判断するためのものではありません。実際の歩行観察や身体機能評価と組み合わせ、日常生活における変化を捉えるための参考情報として活用するようにしましょう。


まとめ


iPhoneのヘルスケアアプリでは、歩数だけでなく、歩行速度・歩幅・歩行両脚支持時間・歩行非対称性など、日常生活における歩行データを継続的に確認できます。


これらのデータの特徴は、院内やジムで行う一時的な歩行評価だけでは捉えにくい、普段の歩行状態やその変化を確認できることです。


一方で、一つの数値だけで身体機能や歩行能力を判断することはできません。


経時的な変化や複数の指標を確認しながら、実際の歩行観察や身体機能評価と組み合わせて解釈することが重要です。


まずは自分のiPhoneで歩行データを確認し、日々の歩行がどのように記録されているのかチェックしてみてください。



参考文献


  1. Apple Inc. (2021). Measuring walking quality through iPhone mobility metrics. Apple Inc.

  2. Yamamoto, N., Miyazaki, H., Shimada, M., Nakagawa, N., Sawada, S. S., Nishimuta, M., Kimura, Y., Kawakami, R., Nagayama, H., Asai, H., Lee, I.-M., Blair, S. N., & Yoshitake, Y. (2018). Daily step count and all-cause mortality in a sample of Japanese elderly people: A cohort study. BMC Public Health, 18, 540.

  3. Studenski, S., Perera, S., Patel, K., Rosano, C., Faulkner, K., Inzitari, M., ... Guralnik, J. (2011). Gait speed and survival in older adults. The Journal of the American Medical Association, 305(1), 50–58.

  4. Verghese, J., Holtzer, R., Lipton, R. B., & Wang, C. (2009). Quantitative gait markers and incident fall risk in older adults. The Journals of Gerontology: Series A, 64(8), 896–901.

  5. Di Stasi, S. L., Logerstedt, D., Gardinier, E. S., & Snyder-Mackler, L. (2013). Gait patterns differ between ACL-reconstructed athletes who pass return-to-sport criteria and those who fail. The American Journal of Sports Medicine, 41(6), 1310–1318.

  6. Ardern, C. L., Taylor, N. F., Feller, J. A., & Webster, K. E. (2012). Fear of re-injury in people who have returned to sport following anterior cruciate ligament reconstruction surgery. Journal of Science and Medicine in Sport, 15(6), 488–495.

  7. Ardern, C. L., Taylor, N. F., Feller, J. A., & Webster, K. E. (2012). Fear of re-injury in people who have returned to sport following anterior cruciate ligament reconstruction surgery. Journal of Science and Medicine in Sport, 15(6), 488–495.

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