腰痛症をどう捉える?まず押さえたい評価と鑑別のポイント
- 22 時間前
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はじめに
腰痛を訴える患者やクライアントに対して、筋肉の硬さや関節可動域、姿勢、体幹機能などを評価することは多いと思います。
しかし、腰痛には脊椎や神経の障害、内臓疾患、血管疾患、心理社会的要因など、さまざまな要因が関与します。
そのため、最初から「この筋肉が硬い」、「体幹が弱い」と原因を決めつけるのではなく、まず「この腰痛に介入してよいのか」、「見逃してはいけない病態はないか」という視点を持つことが重要です。
本記事では、外来リハビリや運動指導で遭遇しやすい腰痛について、代表的な病態の特徴と評価のポイントを整理し、介入につなげるための考え方をわかりやすく解説します。
腰痛は「痛み」だけでなく全体像を評価する

腰痛の評価では、痛みの部位や強さだけでなく、身体機能や神経症状、日常生活への影響、心理社会的要因などを多角的に捉えることが重要です[1]。
特に慢性腰痛では、身体的な要因だけでなく、不安や抑うつ、破局化思考、恐怖回避思考などの心理社会的要因が、症状の遷延化に関与することがあります。
腰痛の評価には、痛みの程度だけでなく、腰痛による身体機能や日常生活への影響を把握する評価尺度、さらに心理社会的要因を含めて予後リスクを把握するスクリーニングツールなどがあります。
評価ツール | 主に評価するもの | 特徴 |
JOABPEQ | 腰痛の状態を多面的に評価 | 疼痛関連障害、腰椎機能障害、歩行機能障害、社会生活障害、心理的障害の5領域・25項目で評価 [2] |
RDQ | 腰痛による日常生活の障害 | 立つ、歩く、座る、着替える、仕事など、腰痛によって日常生活がどの程度制限されているかを24項目で評価 [3] |
STarT Back Screening Tool | 腰痛の予後・慢性化に関わるリスク | 身体的要因と心理社会的要因を9項目で評価し、低・中・高リスクの3群に層別化する [4] |
ただし、こうした詳細な評価や介入を進める前に、まず確認しておかなければならないことがあります。
それが、重篤な疾患の兆候を示唆するレッドフラッグ(Red flags)や神経症状の有無です。
腰痛で見逃してはいけない兆候を確認する
腰痛を評価する際、まず確認しておきたいのがレッドフラッグ(Red flags:重篤な疾患が認められる可能性のある兆候)です。
レッドフラッグとは、骨折や悪性腫瘍、感染症など、見逃してはいけない重篤な病態の可能性を示唆する所見を指します。
こうした重篤な疾患が腰痛全体に占める割合は脊椎骨折が1〜4%、脊椎悪性腫瘍(原発・転移を含む)が原因である割合は1%未満と報告されています[5]。

疑われる病態 | 押さえておくべき主な兆候 |
脊椎骨折 | 高齢、重度の外傷歴、副腎皮質ステロイドの長期使用、挫傷・擦過傷など |
悪性腫瘍 | がんの既往、原因不明の体重減少、症状が長期間改善しないなど |
感染症 | 発熱、感染症の既往・リスク、免疫抑制状態など |
馬尾症候群などの重篤な神経障害 | 膀胱直腸障害、会陰部の知覚異常、進行性・重度の神経症状など |
代表的な腰痛症の特徴と鑑別ポイント
レッドフラッグや重篤な神経症状を確認したうえで、次に症状の特徴や身体所見から、腰痛の背景にどのような病態が考えられるのかを整理していきます。
ここでは、外来リハビリや運動指導で遭遇しやすい代表的な腰痛症について、それぞれの特徴と鑑別のポイントを紹介します。
表:代表的な腰痛症の特徴と鑑別ポイント[1]
病態 | 主な症状・特徴 | 鑑別のポイント |
腰椎椎間板ヘルニア | 腰痛に加え、下肢痛やしびれなどの神経症状を伴うことがある | |
腰部脊柱管狭窄症 | 立位・歩行で殿部や下肢症状が出現し、座位などで軽減しやすい | 症状と姿勢・歩行との関係、腰椎伸展による症状の変化、神経症状を確認する |
仙腸関節障害 | 仙腸関節周囲の殿部痛が中心。鼠径部や下肢に痛みが広がることもある | 疼痛部位、One finger test、Gaenslen test、Patrick testなどのと徒手検査や特定部位(上腸骨棘、長後仙腸靱帯、仙結節靱帯、腸骨筋)の圧痛など複数の所見から判断する |
非特異的腰痛 | 痛みの原因となる特定の病態を明確に同定できない | 姿勢、脊柱可動性、運動時痛、筋力などに加え、日常生活や心理社会的要因も含めて多角的に評価する |
腰痛評価に役立つ3つの評価ツール
腰痛症は、痛みの強さだけでなく、痛み、身体機能・QOL、心理社会的要因の3つの側面から多角的に評価することが重要です[1]。




